6年ぶりに生まれ育ったこの町に戻ってきた。
10歳のころに遠くの都会に引っ越した私は、16歳になった。
今日は地元のちいさな高校で入学式がある。
靴箱の前にある提示板でクラスを確認し、1年3組の教室に足を踏み入れたその瞬間。
宇月(うづき)あかりは今、パニックに陥っています。
ことの発端は、久しぶりに幼なじみたちに会える‼
と、胸を踊らせながら教室のドアを開けたときのこと。
「え……あの、だだだだ誰ですか……?」
肩につくくらいの黒髪。
メイクはあんまり上手にできないからって理由でほぼなし。
しいていうなら、剃りすぎてしまった眉をちょこっとだけ描き足した程度。
白いブラウスのボタンは上まできっちりとめて、赤色のリボン、紺色のプリーツスカートはちょうど膝くらいの丈。
……っていう、どこからどう見ても真面目な生徒であるこの私。
なんと今、ヤンキーに絡まれております。