この手だけは、ぜったい離さない




みっちゃんに洋くんたちには関わるなって言われた理由が、ようやくわかったような気がする…。

ふたりはみんなから恐れられてるヤンキーだからってことも、その理由のひとつなんだろうけど。



なんてったって、ふたりとも同じクラスだもんね…。



「まぁまぁ宇月さん…。荒井くんと何があったのかはわからないけど、荒井くんが何か問題を起こしたら僕もすぐに注意するから。だから泣かないで、ね?」

「うぅぅ……ありがとう、追野くん…」



追野くんってば優しすぎる…。

話したこともない私のことを、嫌な顔ひとつせずに優しくなぐさめてくれるなんて。

追野くんがモテる理由がわかるなぁ。



「さっ、まずは野外炊事の分担決めようよ」



荒井くんの机もいれて4つの机を寄せ集めた私たちは、先生に配られた『オリエンテーション合宿』っていう冊子を手元にひらき。

和気あいあいとした雰囲気の中で話し合いがはじまった。



クラスメイトたちの楽しそうな声があちらこちらからあがる中で、教室の扉が勢いよくスライドした。