この手だけは、ぜったい離さない




校門の前でひとり突っ立ってるとか、あきらかに誰かを待ってますって感じだよな…。



俺の前を通りかかるツレが『なにしてんの?』とか『誰か待ってんの?』だとかっていちいち聞いてくるからなんか恥ずかしくなってきた。



はぁ……。

あかりはまだか?



ため息を洩らしながら、ふと校舎に目を向けたとき。

屋上にふたりの女子生徒を見つけた。



緑のフェンスに背を向けて立っている黒髪の子は、背中しか見えないから誰だかわかんねぇけど。

黒髪の子の向かいに立っている子が、遥だってことはすぐにわかった。



校門から屋上までは距離があるからはっきりと顔が見えたわけではないけど、でもあれは間違いなく遥だろ。



茶色の長い髪もそうだし、短いスカートを隠すようにして腰にベージュのカーディガンを巻いてるところとか。



……ってことは、遥の向かいに立っている黒髪の子こそがあかりか。

確か、遥と話すことがあるって言ってたんだっけ?



わざわざ屋上なんか行ってなにを話してんだってしばらく眺めていたら。

遥があかりに向かって、なにかを投げつけたように見えた。



なんだよ今のは?

もしかしてケンカでもしてるのか?

なんか嫌な予感がするなぁ…。



あかりのことが急に心配になった俺は、校舎に向かって全力で走った。