この手だけは、ぜったい離さない




『それにしても、ぺろちゃんほんっと可愛かったなぁ!いいな、うちは犬は飼えないから羨ましい』

『そっか。親父さんがアレルギーがあるんだっけ?また会いたくなったらいつでも会いにこいよ』



違う違う、そうじゃねぇ。

なにやってんだよ、俺。

いまは犬の話しをしてる場合じゃねぇ。



『あはは、そんなこと言われたら6年前みたいにしょっちゅう遊びに行っちゃうかも。なーんてね』



しょっちゅう来てもぜんぜんいいけど。

だってそれって、毎日あかりと一緒に帰れるってことだろ?

って考えてたら『まぁでも……俺は別に構わないけどな。しょっちゅう遊びに来ても』ついついそんなことを口にしてしまった。



『え……そんな、迷惑じゃないの?』



きた……好きって言うならこのタイミングだ。

“迷惑じゃねぇよ。だって俺はあかりのことが好きだから”

って言える絶好のチャンスだろこれはっ。



『迷惑なわけあるか。俺は……』



ここまではなんとか言えたけど、その先の言葉がなかなか出てこない。



直前になって、やっぱりフラレるのが怖いって思ってしまった俺は。

『いや……やっぱりなんでもない』と、言葉を濁らせてしまった。



んでこの日は結局、あかりに告ることができなかった。