この手だけは、ぜったい離さない




『俺もあかりと写真撮っとこうかなーって。ほら、ちゃんと前向いて』



追野との写真よりも、より親密な写真を撮ってやろうと思って、ついあかりの肩を抱いてしまったけど…。

これはやべぇな……ドキドキしすぎて、心臓がもたねぇかも。

平常心を保つのにとにかく必死で、あかりの顔を見る余裕すらもなかった。



その後は、急に部屋に押しかけてきた遥と神田のせいであかりと話せなくなっちまったけど。

あかりとふたりで写真を撮ることができたから、それだけで十分だった。



『なにをさっきからひとりでニヤニヤしてんだよ、洋。気持ち悪ぃやつだなぁ』



消灯時間が過ぎて、暗くなった部屋の中。

まだ誰も寝てない中で布団に寝転がりながら、さっきからずっとあかりとの写真を眺めている。



ノリはそんな俺のスマホを横から覗いてきて『お前にしては思いきって責めたな』とか言って。

もう褒めてんだか貶してんだか…。



『なんか……あかりのこと好きすぎてやべぇんだよ。なんなんだ、この気持ちは。どうしたらいいんだよ俺は』

『なんなんだよって逆に俺が聞きたいわ。さっさと告れよな、見ててじれったいんだよ』

『そうだなぁ……』



フラレたときのことを考えたら、このまま仲のいい友達ってのもありかなって思ったりもしたけど。

やっぱりむりだ。

あかりを、俺だけのものにしたいと思った。