この手だけは、ぜったい離さない




『この写真のことだよね?』



俺があかりから、ほんの少しだけ目を離した隙のことだ。



あかりと追野が、またいい感じになってる。

ふたりで仲良くひとつのスマホを見たりなんかして、なにやってんだよ。



急接近するあかりと追野が視界に入った瞬間、またイラッとしてしまったけど。

ここは必死に怒りを抑えた。




『なになに?ふたりして仲良さげになにを見てんの?』



むりやり笑いながら、あかりが手に持つスマホを覗いて見ると…。



うわぁマジかよ……追野とふたりで写真とか撮ったのか。

しかもふたりとも笑ってて、すっげぇ楽しそう。



これにはマジで凹んだ。

ウォークラリーのとき、あかりと追野はこんな調子で仲良くしてたんだな。



『一面れんげの花が咲いていてすごい綺麗だったんだよ』

『ふーん、あっそ』



あー……ダメだ。

ガキみてぇだなって自分でもわかってるけど、ツーショット写真なんか見せつけられて嫉妬すんなってのが無理だわ。



くそぉ、俺だってあかりとふたりで写真なんか小学生のころ以来撮ってねぇのに!

よし……こうなりゃ俺も、あかりとツーショット写真を撮ってやろうじゃねぇか。



『今度はトランプでもする?』



そんなタイミングで俺の隣にあかりが座ったもんだから『いいけど……。でも、その前に…』っつって。

あかりの華奢な肩に、強引に腕を回した。