この手だけは、ぜったい離さない




そういえば、あかりからラインは返ってきてんのかな。

枕がビュンビュン飛び交う中で、また壁際に離れた俺はスマホを開く。



予想どおり、あかりからラインの返信がきていた。



『楽しそう〜!私も洋くんたちの部屋に行きたいなぁ。今から行ってもいいかな?』



えっ……マジかよ?

今から行ってもいいかなって、はてなの後ろにハートとか使ってんじゃんっ。



なんなんだよ、このハートの裏に隠された感情はなんなんだ…⁉

もしかしてあかりも俺のことが好きなのか?

いや、でも女子って女子同士でもハートの絵文字を使ったりするんだよな…?



よくわかんねぇけど……ニヤニヤが止まらねぇ。



そんなもん来てもいいに決まってんだろ?



いや……でも、ノリや桑野らが投げる荒っぽい枕があかりに思いっきり当たったりなんかすれば。

それがもし顔面だったら?

遊びってわかってても、あかりに枕をぶつけた奴にキレてしまうかもな…。



俺にとってはマジで苦渋の選択だったけど、あかりに今はダメって送り返した。

それでもやっぱり会いたかったから、あとで『明日なら大丈夫』って送り返した。



とまぁ、こんな感じで合宿の1日目はあかりと話せなかったからつまらなかった。



明日は野外炊事とウォークラリーがある。

だからぜったい、あかりと追野がニコニコしながら話したりするんだろうなって思うと、明日がすげぇ憂鬱になった。