この手だけは、ぜったい離さない




だけど翌日になっても、あかりの好きな人が気になって気になって仕方がない俺は。

あかりと追野が会話をするたびに見てしまうようになった。



だから俺にとって、この日からはじまったオリエンテーション合宿は地獄でしかない。

だって追野とあかりは同じ班だしな。

野外炊事もウォークラリーも一緒なんだろ?



なんだよそれ……気にいらねぇ。

って、あかりと追野が接触することを恐れていたんだけどな。

合宿の1日目は退屈な勉強ばっかで、あかりと追野が接触することはなかったから良かった。



っていう俺も、あかりとぜんぜん話せなかったなー。

バスの中で少しラインしたくらいか…。



『よーうっ、来たよーっ!ねぇねぇ、なにやってんの?麻雀?今から枕投げしようよぉ?』



宿泊部屋でノリと垣田と桑野と折りたたみ式の雀卓を囲っていると。

いきなり遥と舞野が部屋に入ってきた。



『おいっ、許可もなくいきなり入って来んなよな!ぜってぇ来んなっつっただろ!』



俺が不機嫌に遥を睨むと、垣田がすぐに『まぁまぁいいじゃん。一緒に麻雀する?』って手招きなんかするから。

俺はノリと垣田と桑野の4人で麻雀をしたかったのに、なぜか俺と垣田と遥と舞野の4人で麻雀する羽目になってしまった。



ったく垣田の野郎…。

遥のことが好きだからって、勝手に招き入れてんじゃねぇよ。