この手だけは、ぜったい離さない




あかりの好きな人って誰なんだよ。

アイス屋にいるときも、ソレがどうしても頭から離れねぇ。



こうなったらもうストレートに、誰が好きなんだよ?って聞いてみるか?

いや、もしそれが俺じゃなかったら、俺は告白もしてないのにフラレたってことになるんだよなぁ。



『さっきからずっと、あかりの好きな人が誰だか気になって仕方がねぇんだけど』



聞こうか聞かないか散々悩んだ俺は、帰り道でやっぱりそう聞いてしまった。



『わかった。じゃあ洋くんが先に好きな人を教えてくれたら、私も教えてあげる』



……そうきたかぁ。

あかりの好きな人が知りたければ、俺は今この場であかりに告るしかないってか?



今はまだ言いたくねぇなって思ったけど。

でもどうしても、あかりの好きな人が知りたかった俺は咄嗟にあかりの手首を掴んでしまった。



『待て。わかった、教えてやる』



やべぇ……なんだよこれ、緊張する。

心臓も尋常じゃないほどバクバクなって、暴れ回ってる。



でもここまできたら、もう後には引けないことはわかっていた。



『やっぱり……いい。聞かないことにする。だから私も、私の好きな人は教えられないかな…』

『……ちぇ。なんだよそれ…』



正直すげぇガッカリしたけど、でもあかりの好きな人を知るのはもう少し先のことでもいいかってすぐに切り替えた。