この手だけは、ぜったい離さない




俺はあかりのどこが好きかって、やっぱり笑顔がいちばん好きなんだ。

あかりに笑いかけられると、不思議と俺まで笑ってしまうっつーか。

そんなふうにあかりは、周りの人を笑顔にさせられるパワーがあるんだ。



そんなことを考えながら歩いてると、あかりが『洋くんってさ、その……どんな子が好きなのかなぁって』とかって言いだした。



え、なんでそんなこと聞いてくんの?

あかりってもしかして、俺のこと気にしてくれてんのか?

そうなのか⁉



あかりが何を思って聞いてきたのか知らねぇけど、でもこれってチャンスだよな?

逆にあかりの好きなタイプを聞きだせるじゃねーか。



『あかりは?恋愛はまったくしてないとか言ってたけど、どんな男がタイプなんだよ?』

『えっと……一緒にいるだけで楽しくて、笑顔になれる人かなぁ?へへへ…』



おいおいおい、待て待て待て。

なんだその反応は?

なんで頬を赤らめながらはにかんでんの?



いやいや、これはぜったいに誰か特定の男のことを思い浮かべながら言ってんだろ!

まさか追野か⁉




『さては好きな人がいるんだろ?』



って俺が内心で焦りながら聞いたとき。

あかりが目を泳がせたから、あかりには好きな人がいることに気づいてしまった。