この手だけは、ぜったい離さない




「それにしても、ぺろちゃんほんっと可愛かったなぁ!いいな、うちは犬は飼えないから羨ましい」

「そっか。親父さんがアレルギーがあるんだっけ?また会いたくなったらいつでも会いにこいよ」

「あはは、そんなこと言われたら6年前みたいにしょっちゅう遊びに行っちゃうかも。なーんてね」



付き合ってるわけでもないのに、頻繁に遊びに行くなんて厚かましくてできないんだけどさ。

でも、毎日でも会いたいなって思うくらいぺろちゃんが可愛いかったんだもん。



洋くんは「あかりはほんっとに犬が好きだな」って笑っていた。



「まぁでも……俺は別に構わないけどな。しょっちゅう遊びに来ても」

「え……そんな、迷惑じゃないの?」



いくら私たちが幼なじみだからって言っても、毎日のように遊びに行くのはちょっと気が引けるなぁ。

いや、洋くんと一緒に帰れることはすごく嬉しいんだけどね。



でも『しょっちゅう遊びに来てもいい』だなんて…。

私が犬は飼えないから羨ましい、なんて言ったから気を遣わせちゃったかな。

だとしたらなんだか申し訳ないな…。



「迷惑なわけあるか。俺は……」



私と洋くんの視線が重なりあうと、洋くんは言葉を途中で止めた。



「俺は……なぁに?」