この手だけは、ぜったい離さない




「うん、これから…」オセロ対決なんだ、って言おうとしたところで…。



「そうだよ、あかりは今から俺とオセロすんだよっ!だからお前は邪魔すんなよ」



遮るように被せられた洋くんの尖った声に、先に続く言葉をかき消されてしまった。



「ごめんごめん、邪魔なんてしないよ。見てるだけならいい?」

「ダメに決まってんだろ!もうお前はあっちで島田と角南と話しとけっ!」

「えー……それは残念だなぁ。実は僕もオセロ得意なんだよな」



洋くん……なんだかイライラしてるみたいだけど、なんでかな?

追野くんに邪魔すんなよ、ってそんなにオセロやりたかったのかな?



って、追野くんオセロ得意なんだ。

じゃあ洋くんとオセロ対決をしたあと、追野くんも誘ってみようかな?



「ほらっ、やるぞあかり。ぜったい負けねーからな。黒か白かどっちがいい?」

「んー……じゃあ白ね。言っとくけど私、ほんっとに強いよ?」

「いやいや、俺だって強ぇから。じゃああかりが勝ったら、またアイス奢ってやるよ」

「えっ、いいの⁉じゃあ本気だしちゃおっ」



アイスがかかってるんだから、ぜったいに負けるわけにはいかないもんねっ!