この手だけは、ぜったい離さない




夕飯の鴨鍋を思いっきり食べたあとは、大浴場でお風呂。

最初は服を脱ぐことが恥ずかしくて、脱衣場からなかなか動けなかったけれど。



2日目となるともうぜんぜん平気。

みっちゃんと並んで髪や体をごしごし洗いながら、お互いに「細いね。ちゃんとご飯食べてる?」なんて言いあったり。



「はるちゃんってスッピンでもめちゃくちゃ可愛いよね、みっちゃん」

「それを言うなら乃衣ちゃんや、結花ちゃんも可愛いよね」



だとかって、普段メイクをばっちりしている子の素顔を眺めながら「羨ましいね」って話した。



お風呂のあとは宿泊部屋に戻って、あとは22時半の点呼までは自由時間。



「あかり、今夜は楽しんでね。仙崎と!」



ピンク色のパジャマを着て、濡れた黒髪を乾かす私にニヤニヤしながら耳打ちをしてきたのはみっちゃん。



「そういうみっちゃんも、今夜は1組の啓太くんの部屋に行くんでしょ?」

「そうそう。啓太や啓太の友達と、大富豪やろうって話しになってんの!」



普段はクールなみっちゃんなのに。

啓太くんに会えることがよほど嬉しいのか、珍しく頬を赤らめちゃったりして。



「ふふふ、みっちゃんも楽しんでね」



髪を乾かし終えた私は、オセロを手に持って宿泊部屋を出た。