この手だけは、ぜったい離さない




バスでこの山道を走っているときはわからなかったけど。

空を隠すくらい生い茂っている葉の隙間からはいる陽の光。

ウグイスとかキビタキの透き通るような囀り。



うーん……癒やされるっ。



「あっ、有坂さん。宇月さん、向こうに赤い橋が見えるよ」

「ほんとだ、すごい人だね。みんな問題を解いてるのかな?あかり行ってみよう!」



みっちゃんと追野くんが指差す先に、赤色の短い橋があって。

その橋の脇には、立て札に書かれた問題を解く生徒の姿が大勢見えた。



「えーっと、なになに?その1ばん、1575年、長篠の戦いで織田信長が破った人物は?その2ばん、享保の改革を行った人物は?その3ばん、1221年に幕府を倒そうとして後鳥羽上皇が挙兵した事件は何……だって」



えーっ……問題って、ひとつのチェックポイントに3つもあるの?

この問題はどれもテストで何度も見たことがあるけれど……ぜんぶど忘れしちゃったなぁ。



みっちゃんと追野くんに「わかる?」って視線を投げてみた。



「武田勝頼、徳川吉宗、承久の乱だね」ってさらりと答えた追野くん。

さくさくっと答えられてすごいなぁ、追野くん…。



それとも私がおバカなだけなの…?



「じゃあ次のチェックポイントはどこにする?ここからまっすぐ行った先にある、お地蔵さんのところに行ってみる?」



私もみっちゃんも「そうしよう」ってことで、赤い橋を渡った私たちはその後もしばらく山道をくだった。