この手だけは、ぜったい離さない




「うん、クラスは離れちゃったんだけどね。西田啓太だよ、覚えてるでしょ?」



西田啓太(にしだけいた)くんってあの……。

たびたび洋くんを泣かしていたあのイジワルな…?



「そうなんだぁっ!懐かしいなぁ、啓太くん!」

「今はすっかり野球少年だよ」



頬をほんのり赤くさせたみっちゃんは、ブレザーのポケットからスマホを取りだすと啓太くんの写真を見せてくれた。



「あっ、啓太くんぜんぜん変わってないね!このきりっとした目とかっ、髪型が相変わらず坊主なところとか!」

「甲子園に行くんだって言ってはりきってんの。また廊下で見かけたら、声かけてあげてよ」

「うんっ、もちろん!」



私とみっちゃんを乗せたバスは、学校に向かってまっすぐにアスファルトを走る。

バス停にとまるごとに生徒がひとり、またひとりと増えてきて。

あっという間にぎゅうぎゅうになってしまったバスの中に、ひときわ目立つ風貌の男子生徒がふたり乗りこんできた。