この手だけは、ぜったい離さない




「わぁ……なんか大自然ってかんじだね」



白色の外壁の洋館のような宿舎の周りには、背の高いポプラの木。

小高い山の上にある宿舎の広い駐車場からは、てっぺんに薄っすらと雪を残した山々が見える。

ヤッホーって叫んだら、きれいなやまびこがかえってきそう。



宿舎に背中を向けたら、きれいに先端を切りそろえられた芝生広場もある。

その向こうには、目の前にある白い洋館と似たような建物がふたつ。

それに、学校の体育館みたいな建物も見えるし…。

その体育館のさらに向こうに見えるのは、野外炊事場なのかな?



「あかり、ぼーっと見てないで歩いて歩いてっ。みんなにおいて行かれてるよ」

「うぁっ、ほんとだっ!」



みっちゃんに背中を叩かれ、担任のあとを2列になって並んでついて歩くクラスメイトたちを慌てて追いかけた。



まずは多目的ホールで入館式。

引率の先生からのお話しがあったり、宿舎を管理している職員さんたちからご挨拶があったり。

正直なところ、つまんないなって思いながら長いお話しを聞いた。



洋くんを筆頭とするヤンキーたちなんかは、たびたびお喋りなんかしていて先生に怒られてたけど…。



「わっ、宿泊部屋は畳になってるんだね。なんかちょっとした旅館みたい」



入館式のあとは、クラスメイトの女の子15人のうち、みっちゃんと私を含めた7人で宿泊部屋へ。