この手だけは、ぜったい離さない




「帰りのバスは、仙崎の近くに座ったら?そーんなに会話がしたいんなら」



ニヤニヤしながら『約束だからね?』って送り返すと、みっちゃんは呆れたようにため息を吐きながら私のことをじいっと見ていた。



「いや……そういうわけじゃ。だって洋くんがバイクを乗り回すとかって言うから…」

「あかりったら、ほんと仙崎のこと好きだね。顔が真っ赤だよ?」

「もう……みっちゃんったらからかわないでよぉ」



そんな会話をしているうちに、洋くんから『あかりが言うなら仕方ねぇな。わかった、いーよ約束する』という返信が来て。

思わずまたニヤニヤしてしまったら、みっちゃんに「ほどほどにしなきゃ、担任にスマホ没収されるよ?」って注意をされた。



没収はイタイなぁ…。

それならもう一言だけメッセージを送ったところで、洋くんとのラインはいったん終わりにしようかな。



「よーし、じゃあ今度はクイズ大会でもするかー!」



洋くんに『嬉しい。ありがとう洋くん!』と送り返そうとしたときに、次なるレクリエーションがはじまったから、返信できずにスマホをポケットに戻した。



担任が出題するクイズ大会も、自己紹介と同様に大盛りあがり。

2時間なんて退屈だなって思っていたけど、あっという間に山の中の宿舎の前に着いた。