みっちゃんに「あかりの説教、ちゃんと響いてたみたいだね」って肘で脇腹をつつかれて、なんだか嬉しくなった。
バスが『学校前』の停留所で止まると、乗客のほとんどが降りていく。
「うー……キャリーバックが重たい」
「2泊3日ぶんの荷物が入ってるもんね。あかり、大丈夫?階段から転がり落ちたりしないでよ」
「はぁ……なんでこの学校は、校門の前に階段があるの…」
10段くらいなら、キャリーバックを持ってても登れるんだけどなぁ。
50段はちょっと…っていうかかなりキツイ。
「あはは、そんなに重たい?荷物詰め込みすぎなんじゃない?」
「ふつうだよ。着替えとかパジャマとか体操服とか、タオルでしょ、洗面用具でしょ?あとはトランプとかオセロとか。ヘアアイロンに、寝癖直しスプレーとかっ」
「オセロとかヘアアイロンとかが余計なんでしょっ」
「みっちゃんと寝る前にオセロ対決したかったんだもん…。ヘアアイロンいるよ!だって私、寝癖ヤバイんだもん!」
なんでみっちゃんは、涼しい顔をして階段を登れるの?
同じようなキャリーバックを持ってるっていうのにっ。
やっぱり私って、持ち物が多いのかな?