この手だけは、ぜったい離さない




もう放課後だってのに、私ってばまだそんなことを考えてる…。



「おいっ、あかり!」



スクールバッグにノートや教科書を入れていると、まだクラスメイトがたくさん残っている教室の中で洋くんに肩を叩かれた。



「わぁっ、びっくりしたぁっ!なに、いきなりどうしたの?」

「明日の帰りは暇かなって思って。アイスでも食べに行く?」

「えっ、いいの⁉行きたい行きたいっ!」



なんて……目を輝かせながら頷いた私。

ついさっきまではテンションだだ下がりだったくせに、アイスひとつでこうも元気がでてくるとは。

自分のことながらに、なんて単純なんだって思う。



すると私と洋くんの会話が聞こえてしまったのか、はるちゃんが「いいなー、私もアイス食べたーい」って頬を膨らませた。



「バーカ、お前には何もねぇよ」

「えーっ、洋のケチっ。なんであかりちゃんだけなのー?」

「そりゃああかりは俺にとって……幼なじみだからなっ!だからあかりはいいんだよっ」

「ちぇーっ。つまんないの、洋のバーカ」



けらけら笑うはるちゃんに「バカはお前だバーカ」と笑いながら言い返している洋くん。

楽しそうに笑っているふたりを眺めていると、美男美女だしなんだかお似合いだなって思てしまった。