この手だけは、ぜったい離さない




「うん……そう、洋くんと私はいい友達だよ」

「そうだよねぇ。友達だから、洋はあかりちゃんとだけは一緒に帰ったりするんだもんね?」



洋くんと私は親友。

それは幼稚園児だったころから、これまでずっと思ってきたこと。



「そうだね、そうだと思う」

「実は私ね、洋のこと好きなんだよねっ。だから洋があかりちゃんのこと、好きなんじゃないかって勝手に焦ってて……。あはは、早とちりしすぎだよね」

「うん、本当だよ……あははは」



洋くんが私のことを、ひとりの女の子として見てくれていないことはわかってる。

わかってるはずなのにな……。

なんだか胸がモヤモヤする。



胸を覆い隠すようにして現れたこのモヤモヤは、体育の授業が終わっても消えることはなかった。



今日はずっと上の空だったような気がする。

たびたびはるちゃんと話したり、洋くんと話したり。

その間にも、ずっと頭から離れないのは体育の授業の前、はるちゃんと話したこと。



洋くんが私のことを女の子として見ていない。



そんなことわかりきってたよ、って思う私もいるし。

なんかそれってショックだな、って思う私もいるし。



って、なんで私は女の子として見られてないってことに傷ついてるんだ…。

だって相手は洋くんじゃん。

友達じゃん。