「え、えと……」

答えに戸惑った私に一瞥くれて、王子はビリヤード台に向き直る。

「ま、いいけど」
ため息にも似た捨て台詞を吐いた……瞬間、だった。


カツーン!!

脳天を勝ち割るような音がして、九つの球が緑色の上に色とりどりに散らばった。


なに、これ。

聞いたことのない音。見たことのない光景。
さっきまでどうでもよかった緑色の空間に、釘付けになっている自分がいた。

「かっこいい……」

思わず口からもれていた。