「じゃあそういうことだから、ご両親には連絡しておく。」
「わかりました。」
「こういう生徒がいなくなって一安心ですね。」
部屋の隅から聞こえた声。
感情的になって、おもわず殴りかかりそうになったそのときだった。
―――バタン…!!!
「陽君っ…!!」
俺が求めていた、愛しい姫の声が。
俺が求めていた、愛しい姫のこの表情が。
神様はいたんだ。
「萩原!!なんでこんなところに!!」
「何で陽君が退学なんですか!!陽君は私のために…やったことなんです…。全部私のせいなんです!!全部陽君に押しつけないでください!!」
いつもはおとなしい千紘が大声で訴える。
大きな瞳に涙を浮かべて。
今にでもその涙を拭いてあげたかった。
