秋風が吹いてきてだいぶ肌寒い季節。
この前まで汗をかくほど暑くて
蝉も活発に鳴いていたほどなのに、
今はもうそんな季節はどこかへいったみたい。
夏服ではやはり少し寒くて
両手で手をこすっていた。


「萩原さん、教室掃除変ってくれない?」
「いいけど…」

萩原千紘、16歳。
やっと家に帰れると思ってバックに荷物を詰めていると、そんな声が聞こえた。
みんなそうやってさぼって――…。


私はそんなに仲のいい友達もいない。
というか作らないだけで。
顔だって地味だと思うし、そこらへんの女子高生とは全然違う。
もちろん恋愛経験だってゼロ。
ただずっとひたすら勉強ばかりで
そんな余裕ないし。