静かな廊下に響く私の足音。
外の北風が聞こえるだけで、
それだけが虚しく響いていた。


「千紘ちゃん…!!!」


透き通るような声の持ち主、
このあどけない笑顔の持ち主は、
相澤陽なんだ。


「え…?」


変わり果てた相澤さんの姿に私は驚きを隠せなかった。
額から流れる赤い血。
紫色に腫れた右目。
傷の付いた長い腕。
見てらんない…。
それでもきっと痛いはずなのに
私の名前を呼んで、さっきと変らない笑顔で私を見ている。

なんで笑ってられるのよ…。