広げられたオレンジ色の中に、彼と私だけ。



すると、彼はぽつりと呟いた。




「お前を呼んだ意味ならあるよ」

「……」






「だってお前がいなかったら、相合傘して帰れないだろ」

「……え」

「今日は相合傘をして帰りたいっていう俺の、下心」

「……なに、それ」

「ダメですか?」

「……しょうがないな」



不意に。はい、俺の勝ち。とでも言うように彼はゆるりと笑った。
私の顔には熱が集まって仕方がない。本当にこれだから私はどうしたって、彼に振り回される。