「そんなに見られると 緊張するんですけど。」
さっきまで真剣な表情で髪を切っていた和田くんは、鏡ごしに笑いかけていた。
「あら?緊張とかするタイプなの?」
私も鏡ごしに会話を続けるが、美容室ではそんなに違和感のない光景だ。
「綺麗なお姉さんの髪を失敗できないでしょ?
それに新しい 良い人を探すんでしょ?
俺、大役じゃん。」
新しい 良い人。
何も言ってないのに ある程度把握してるような含みの発言をする和田くんに
つい無言になってしまう。
え?何でわかったの?!
が、本心だけど。
「探り入れようとしてるでしょ?」
とりあえず、否定も肯定もしなかった。
「バレちゃいました?
でも多分当たりでしょ?」

