竹下は私の頬を手で包むこむように触れた。



私の嫌いな笑みはうかべていない。


「こんなに手放すのが惜しくなるなら
あなたを選ばなければよかった。」


私も竹下の頬に手を伸ばす。


潔い関係を築けると思って 軽い男を選んだつもりだった。


でも私も結局ハマってしまった。


「先輩が結婚ですか。嫌ですね。想像するだけで。」


竹下の切ない表情が私の涙腺を刺激し始めた。


「あなたを忘れるのに どれだけの時間がかかるんだろう。」


私がそう言うと


私の頬に伸びた手に ギュッと力が入った。

そして途端に切なそうな怒っているような
そんな表情になった。



「忘れられるかよ、このベッドを見るたびに

俺だけは先輩を思い出すんだよ。くっそ。」


竹下は見たことないくらい感情をむき出しにしてベッドをボンっと殴った。


!!!