「にゃぁ」
猫の鳴き声が聞こえた。
妙に気になり、辺りを見回す。
「うにゃっ」
ベッドの上に何かが飛び乗った。
子猫だ。
「お前…」
どこかで見たことあるような…
突然、頭痛に襲われた。
とてつもなくイタイイタイイタイ…
頭をかかえてうずくまる。
「うぅ…!!」
女が俺に駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか!?」
「うぐぁ…ぐっ…うぅあああ!!」
プツッ
激しい頭痛は嘘みたいに治まって、、、
そう、俺は…思い出した…!
俺は…!!
「今、お医者さんを…」
女が部屋から出ようとする。
俺は女の腕を掴み、引き止める。
「その必要はないよ、ユアン。」
女は目を見開く。
ユアン。
この女の名前だ。
思い出したんだ、俺は。
ユアンのこと、自分のこと…子猫のこと。

俺は買い物をするため、ユアンと大きな街に出かけた。
子猫を見かけたんだ。
小さくて愛らしい子猫を。
少しばかり見惚れていたら、子猫が流れの速い川に飲まれてしまった。
俺はユアンに荷物を任せ、子猫を助けに行った。
それから…子猫を陸にあげて…俺は…意識を失った。

俺はユアンを見る。
「子猫は無事だったんだな。」
ユアンは微笑む。
「思い出したのですね。子猫はカナタのおかげで助かりましたよ!」
俺はホッとした。
「よかった。」
「あまりにカナタのそばにいたがるので飼うことにしましたの。」
俺はユアンの頭を撫でた。
ユアンが少し驚き、頬を赤く染める。
「そうか。ユアン、ありがとう。」
ユアン、俺の愛おしい永久の愛を誓った恋人。





END