「まだ、思い出せないのですか?」
女が悲しそうな顔で俺に言った。
「・・・。」
俺は無言で女を見る。
金髪の女。
俺はその女を見ながら先日のことを思い返す。

「ん…」
目を覚ますと清潔な白いベッドにいた。
上半身を起こして辺りを見回す。
普通の家にありそうな普通の部屋だ。
ガチャ
ドアが開いて、女が入ってきた。
綺麗な金色の髪をした女だ。
「目が…覚めたのですね…!!」
女は俺に駆け寄り、俺の片手を強く握った。
「よかった…本当によかった!!」
「?」
一体こいつは誰なのであろうか。
「カナタ?」
かなた?カナタ…ああ、俺の名前か。
「カナタ、私のことはわかるでしょう?」
女は俺に問いかけた。
俺はゆっくりと首を横にふった。
女は目を丸くした。
「そ、んな…カナタ…。」
「女、ここはどこだ?」
俺は女に問いかけた。
「それ、本気で言っているのですか?」
俺は頷く。
女は目に涙を浮かべた。
「ここ、は…私の家…です。」
「なぜ俺はお前の家にいるのだ?」
女は立ち上がり、俺に背を向けた。
「思い出せば、、、わかりますよ」
そういって女は部屋から出ていった。
そうか、俺は記憶を喪失したのか。