恋するオフィスの禁止事項 〜エピソード・ゼロ〜




俺は書庫の扉を閉めて、水野が少し落ち着いてから戻ろうと思い、今はただここで水野の頭を撫でていた。

緊張が解けたのか、水野の目から涙がぽたぽたと落ちていく。


「スミマセン、先輩。私、また迷惑かけてしまって・・・」

「ったく、なんで水野が謝るんだよ?突っかかってきたのはアイツらだろ?」

「でも・・・でも・・・」

「でも何?」

「手のかかる後輩だって思われたら、先輩、面倒見るの嫌になっちゃうんじゃないかって思ってっ・・・」


そんなわけないだろって、抱きめたい気持ちを押さえ込んで、俺は撫でていた手をグシャグシャと乱暴に動かした。


「嫌になるわけないだろ。水野は自慢の後輩なんだから。ほら、泣き止んだら一緒に資料探すから、早く泣き止め」

「はいぃっ・・・」