「でも、先輩の嫌がることをしてしまって、本当に申し訳ないと思ってます!すみませんでした!」

「もうそれはいいよ。・・・ねえ水野、なんで中を見たかったの?」

「え・・・」

「俺の手帳の中身、気になった?」


罪悪感と戦いながらこの手帳を開けようとした彼女を想像すると、こっちもドキドキとした。

それはどんな好奇心?


「・・・気になりました。先輩みたいに仕事ができる人の手帳は、どんなふうなんだろうって」

「・・・へえ?」

「何かヒントになることがあるんじゃないかって、すごく気になってしまいました。私、先輩みたいになりたくて、先輩の真似とかも、ちょっとだけしてて・・・」

「え?真似?なに、どんなこと?」


水野は少しヤケ気味になり始めたらしく、隠していたらしいことを真っ赤な顔で暴露し始めた。


「先輩の字、見やすいなぁってずっと思ってて、ボールペン同じの買いました。先輩がたまに使ってる付箋も矢印ついてて分かりやすいから、ほら、同じの使ってます。あとはあの、黒いスーツばっかり着てたんですが、先輩が着てるグレーのスーツ、柔らかい印象になってすごくいいなぁって憧れてて、それで、最近グレーを着るようになって・・・。だから手帳も、真似できることがあったら真似しようかなぁって思って・・・」


(───なっ・・・)


「先輩!?す、す、すみません!!引きましたよね!?あの!もうやめますから!!ほんと変なこと言ってスミマセン!!!」

「水野ぉ〜・・・・」



なんだそりゃ・・・・


───めちゃくちゃ可愛い。