「黙ってくれる?私のおもちゃなの。おもちゃは、おしゃべりできないんだよ?」

綺乃はにこりと笑った。


徳井さんはあきらめたように笑う。


「ははっ。結局波さんみたいに友達でもない、小野さんみたいに友達がいるわけでもない、みんなみたいに連絡先を交換してないだけで虐められるんだ。」


私、美琴、綺乃に就いたクラスメイト達を順番に見渡す。

クラスメイト達は徳井さんから目をそらす。

それを見た徳井さんは乾いた笑いと共に、

「あやめのこと虐めるなら虐めれば?榎本さんはどうだか知らないけど、みんなはあやめのこと虐めてるのばれて大変なことになるかもしれないけどね。」

そう言った。

その言葉に現実の重みを感じたのは恐らく綺乃に就いたクラスメイト達全員だろう。

そんなクラスメイト達に気付いた綺乃は、

「大丈夫。私につけば安全よ。それに徳井さんって父子家庭らしいね。私も父子家庭だけどあなたみたいに貧乏じゃないわよ?あなたのお父さん、お酒に溺れて可哀想。」

クラスメイトを安心させるため、クラスメイト達の方が徳井さんより上の立場にいると話した。

その瞬間、みんなの目が変わった。

ギラギラと光る目。

徳井さんを下に見る目だ。

どこからかクスクスと笑い声が聞こえる。