「榎本は今日で転校する。榎本の仕事の都合だ。」

先生はみんなにそう告げた。

…転校?

なんで…!?私はそう思ったものの、やっぱり話しかけることができずに、綺乃が話している間も決して綺乃の姿を捉えなかった。


「みんな、今日までありがとう!みんなのこと忘れません!楽しかったです!…本当に…ありがとうございました!!」

綺乃は涙ぐみながらお辞儀をしたようだった。


綺乃を含めたみんなで帰りの挨拶をするのは今日が最後だ。

「「さようなら」」

クラスメイト達が挨拶をする中、私は何も言わずにやはりいつものように教室を一番に飛び出した。