「お…おぅ。じゃあ授業始めるぞ…」
先生は何も言わずに座った綺乃を見て戸惑ったようにしながら授業を始めた。
私は後ろの席に座る綺乃に声をかけることが出来なかった。
血の匂いがする。鉄臭い。きっと血が出ているところが唇以外にもあるんだ…。
私はそんなことを思いながらも決して綺乃を振り返ることはなかった。
私は綺乃を避けた。
避け続けた。休み時間には常に個室トイレにこもったり、人が来ない体育館の二階に行ったりした。
放課後はクラス一はやく教室を出て真っ直ぐに家に帰った。
そんな生活をつづけた数週間。
帰りのHRの時間に綺乃が前に出た。
私は綺乃から目をそらした。

