蝶々結びをして笑って。

「榎本綺乃っつうんだ、おまえ。」

体育館裏に着いたところで先輩は急にどすの利いた声で話し始めた。

「はい、そうです!」

綺乃はそれでもにこにこと笑顔を絶やさなかった。

「ふぅん。ってかさ、こないだおまえクソうざかったんですけど?」

先輩は綺乃を鋭く睨む。

「…そうですか」

「うん。私お前のせいで寝られないくらいイライラしたんだよね。」


「だからなんですか?なんで私が責められてるんですか?」

何を言われても淡々と的を得て話す。

「…ってめぇ!」

ついにキレた先輩。

「…うっ!」

どすんっという音を立てて地面に倒れこむ綺乃。

「おまえ、ほんと生意気。」

先輩はさらに綺乃の事を甚振る。

「うっ…」

綺乃がうめき声をあげる。

…綺乃を助けなきゃ!!
そうは思ったものの、足が動かない。

もし、助けに入って私も綺乃と一緒に殴られたら?
怖い。怖いよ…。