蝶々結びをして笑って。

体育館倉庫での出来事から数週間が経った頃だった。


「紅月!佑!私正式に読者モデルとしてレギュラーになれたんだ!」

登校するや否やそう嬉しそうに話す綺乃。

「「おめでとう!」」

私も佑も綺乃に微笑みかけた。

綺乃がレギュラーモデルになったことはもともと綺乃が有名だったこともあり、すぐに学校中に広まった。

私たちもすっかりおめでたモードになり、先輩達のことなど忘れていた…。


「ねぇ、綺乃。なんか先輩が呼んでるみたいだよ。」

休み時間にクラスメイトからそう告げられた。
教室の入り口を見るとこの間の先輩2人だった。

先輩は優しそうに微笑んでいたが、私たちにはその笑顔には裏があることを知っていた。

「ついに来たね、紅月。」

「うん…。」

「じゃ、呼ばれてるの私だけみたいだから行ってくるね!」

「…」

「大丈夫だって!紅月のことは見られてないし、大丈夫!」

綺乃は私が自分の身を心配しているのだと勘違いしてるのか、にかっと笑った。

そして「先輩!私呼びました?」と笑顔で廊下に飛び出した。

「うん!レギュラー決まったんだって?おめでとう!話あるから来てくれる?」

先輩はにこにこと笑って綺乃の肩を抱いた。綺乃はこれからきっとあの時助けた彼女のようになってしまうんだ…。

私はとっさに先輩と綺乃の後をつけた。