「おかえり、綺乃。」

「ただいま!」

綺乃は体育館にまるで何もなかったかのように女の子の手を握って帰ってきた。

「ごめん、私何もできなかった。」

「いいのいいの!紅月はきっとこういうの向いてないんだって。だからなんかあった時は呼んでね!紅月の為なら空飛んでくからさ!」

綺乃はそう言って笑った。

「…ねぇ、大丈夫?あなた。」

私は何もできなかった分その子に話しかけた。

「…ないから…たしは…!!」


「ん?」

女の子はブツブツと何やら呟いている。


「わ、私はあんた達に助けてなんて言ってないからね!?わ、わ、私はあんた達に何かあっても知らないから!私は…!!」


がくがくと震えながら私のせいじゃないとつぶやき続ける女の子。