「わかりました。じゃ、いこっか!」

綺乃はおびえる子の手をとり、微笑んだ。

「あ?なんでこいつ連れてくわけ?」

先輩は不機嫌な声でそういう。


「先輩方はわかりませんが、私たち1年生は清掃の時間なので、失礼します。親睦は今度深めてくださいね!」


綺乃はそれに
動じずに笑い、体育倉庫から連れ出した。

「…気に入らねえ奴。」

先輩の言ったその一言を私は聞き逃さなかった。

私は結局何もできないまま綺乃は簡単にその子を助けてしまった。


私は、その様子を体育館のドアから顔を覗いていることしかできなかった。