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夏美 side

十一月。
十月に受けた葬儀会社に内定をもらった。受かるかドキドキしていたけど、これで一安心。
卒業後に、そこで働くことになった。
「ねえ大樹、就職先決まった」
「……」
「大樹?」
「ん? ああごめん。聞いてなかった。何?」
「だから、就職先決まったの」
「そりゃ良かったな」
「もう少し喜んでもいいんじゃない?」
「そう? 悪い。勉強に集中してた」
「卒業後、あたしこの家出ていくよ。いつまでもお世話になるわけにはいかないから」
「そっか、俺は別にかまわないけどな」
「そういうこと言わないで。甘えちゃうでしょ」
「良男はどうする?」
「あたしが面倒みるよ」
「よろしくな。そう言えば、翔太とはどうするんだ?」
「まだ翔太の合格が決まってないから、なんとも言えない」
「ふーん」
「とりあえず、報告ということで」
「わかった」
話を終えたあと、大樹は再び勉強に集中した様子。
あたしは、二人分のコーヒーをいれるため、お湯を沸かした。


End