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八月上旬。
千秋の病室。
コンコン。
「失礼しまーす」
病室の中は千秋一人だった。
「久しぶりだね千秋。あたし、さびしかったよ」
「私も」
「オレも」
「体調はどう? 九月から学校に来れる?」
「体調は良くはないかな。それに、九月からの学校は行けない。止められてるんだ」
「そうなんだ……」
「……」
「夏美、プレゼントがあるんだろ?」
「ああ、そうだった。ジャーン! 千秋の好きなくらげ四兄弟! こっちが春のマグカップ、こっちが冬真のキーホルダー、そしてこれが大樹とあたしのくらげ四兄弟のぬいぐるみ!」
「わあー、くらげ四兄弟、好きなんだ。ありがとう!」
「ちなみにくらげ四姉妹は春が好きなんだよー。ね、春」
「そう! あのつぶらな瞳、あのふっくらした唇……。んー可愛い!」
「えーあれ、可愛くないよ」
ピキーーーーン!
春に変なスイッチが入ったようだ。
「くらげ四姉妹は最強に可愛いキャラクター。言わば、そう、神!」
「ちょ、おおげさじゃないか、春?」
「くらげ四姉妹が神ならくらげ四兄弟は神の神だね」
「ち、千秋まで……」
「それなら、くらげ四姉妹は神の神の神!」
「だったら――」
「いい加減にしろよ!」
「そうだよ、オレにはどうでもいいよ、そんなこと」
「「良くない!」」
「……」
「ま、まあ、とりあえずプレゼント、大事にしてくれよ」
「このぬいぐるみ、毎日もふもふしてやるよ!」
「そりゃ良かった。気に入ってもらえてなによりだ」
そして、学校の話や受験勉強の話などをした。あまり興味がないらしく、終始ぬいぐるみを千秋はいじっていた。
二時間ほどしゃべって過ごし、今日は、帰ることになった。
千秋は少し痩せてはいたものの、元気そうで良かった。