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七月初旬。
悪魔の三者面談がやって来た。
親父はけっこう落ち着いている。
一方俺は、何を言われるかヒヤヒヤしている。
先生、お手柔らかに……。
「進路は……大学進学でいいのかな」
「まあ、一応」
「大樹、きちんと応えろ」
「大学進学を希望します」
「光岡大学か……。今の偏差値わかってるか?」
「わかってます」
「先生、大樹には難しいでしょうか」
「まだ時間がありますから、逆転合格は可能でしょう。しかし、勉強する気がないようなので心配です」
「大樹、勉強する気はあるのか?」
「あ、ある」
「……それでは、勉強に励みなさい。もしものために他の大学も受けた方がいい」
「わかりました」
「ところで、暴力行為は良くないですね」
「はい、反省しています」
「二度とこのようなことは起こしてはなりませんよ」
「はい……」
「何か相談事などありましたら、どうぞ」
「「……」」
「では、終わりにします」
「大樹をよろしくお願いします」
「わかりました」
面談が終わり教室の外へ。
廊下では春と春の母親と思われる人が順番を待っていた。
また、冬真と冬真の母親と思われる人もいた。
さらに、二組側には夏美と夏美のおばさんがいた。
他にもいたが、目に入ったのはそれぐらい。
昇降口付近で親父が言った。
「あんまり無茶するなよ」
俺は少し返す言葉に迷ったが、
「わかってる」
と言った。