泣いてても、貴重な時間は過ぎていくばかり

それなら、せめて最期に一度でいいから奏汰くんとお出かけしたい。

……それは、私のかねてからの願いだった。

「…………ねぇ、奏汰くん」

「ん?なあに?」

お互いの声が、涙混じりで震えている。

「……私、お出かけ…したいの。どこでもいいから、最期に………………奏汰くんと思い出欲しいな…って」

「いいよ。先生に頼んでみよ?……一週間あるんだから、1回じゃなくて、もっとお出かけしよ?2回でも、3回でも。ね?」

「うん!!」

そう言って、返事をしたけど……その実、私は薄々そんなに外出は出来ないことをわかっていた。

…まあ、余命一週間の人を外出させて、外で倒れたら困るもんね。



私の心の中では、お出かけを喜ぶ気持ちと死に対する恐怖と不安が混ざりあって、葛藤していた。

そういえば、お母さん……もう1ヶ月は来てくれてないな…なんて


なんで今思い出すんだろ……