前に病室にいた頃とは比べ物にならないくらいの、沢山の管と色々な機械やモニターに繋がるコード。

それが、青白くすっかりやつれた咲楽ちゃんに繋がっていた。

酸素マスク越しのシューシューという呼吸音と、心電図の規則的な機械音がなければ、生きているとわからないほど、顔色が悪い。

僕が眠っている間に、こんなにやつれちゃって……

きっと、ご飯もまともに食べてないんだろう。

…栄養を摂るための太い管も繋がっている。

僕は、触れただけで壊れてしまいそうな、咲楽ちゃんの手をそっと握った。

「咲楽ちゃん……」

そう小さく呼んでみる。

すると、咲楽ちゃんはうっすらと目を開けて、不思議そうに辺りを見渡す。

「咲楽ちゃん」

そう、もう一度呼ぶと、咲楽ちゃんは僕の方を向いて

「……か………………なた…く……ん?」

と震える声で途切れ途切れに僕の名前を呼んだ。

「そうだよ、咲楽ちゃん。……ごめんね、そばにいてあげられなくて…」

「…………ん……、それ…より…………奏汰…くん………………手術、お…わった?」

「…うん。終わったよ。…………成功、だって…」

「そっか」

そう言った咲楽ちゃんは、とっても嬉しそうだ。

「よ……か…た…………」

喋るのも苦しいのか、どんどん咲楽ちゃんの息はあがっていく。

「ごめん、無理して喋らなくても…」

「いいの。…………わ…たし……奏汰…………くんに…あえ……て………………うれし…い……から」

思わず、泣きそうになるのを堪えて、もう一度咲楽ちゃんの手を握る。

「僕も、咲楽ちゃんが無事でいてくれて、うれしい。ありがとう…」

そう言うと、咲楽ちゃんはまたニッコリと微笑んで、僕の手を握り返してくれた。

前に握った時より冷たくなった手。

会えたのは嬉しかったのに、嫌な想像ばかりが浮かんでいく。

…………お願いだから……死なないで

その言葉を口にするなんで、できなかった。