倒れてきた咲楽ちゃんを受け止める。

少し、体が震えてる……

そう思っていると、咲楽ちゃんはまた大きく咳き込んだ。

「ゲホッ!!…ｹﾞﾎｯｹﾞﾎｯ……ｺﾞﾎｯ」

「咲楽ちゃん!!咲楽ちゃん!!」

そう必死に叫ぶと咲楽ちゃんは、なんとか頷いてくれる。

「……大丈夫…大丈夫………………だ、いじょぶ……大丈夫」

絶対大丈夫なんかじゃないのに、何度も"大丈夫"を繰り返す。

"このままじゃ、咲楽ちゃんが死んじゃう"そう脳内で警鐘が鳴っている。

僕は、急いでナースコールを押した。

"はい、どうされました？"

「さ、咲楽ちゃんが、血を吐いてっ…ぐったりしてるし、苦しそうで、体も少し震えてて!!」

"わかりました、すぐ先生呼びますね!!"

そう言ってから、先生と看護師さんはすぐに来てくれた。

でも、それと同時に、手術の準備も終わったらしく、看護師さんが僕を呼びに来る。

「咲楽ちゃん…」

「…………大丈夫………………大丈夫……大丈夫」

咲楽ちゃんは壊れたロボットのように同じことをひたすら繰り返す。

僕は、たまらなくなって、咲楽ちゃんをギュっと抱きしめた。

「咲楽ちゃん!!…………お願いだから、絶対待っててよ!!……絶対、いなくなっちゃダメだからね!!」

すると、少しだけ目を開けた咲楽ちゃんは、苦しそうに微笑んだ。

「…………大丈夫…だよ………………なた、くん……がんばって…ね」

そう言って、咲楽ちゃんは言い終わると同時に意識を失った。

「奏汰くん、もう時間が……」

「はい。わかってます。すいません。」

僕は溢れた涙を拭って、歩き出した。