「咲楽ちゃん……大丈夫?」

静かに泣いていると、私を心配してくれたのか、奏汰くんがカーテンから入ってきて頭を撫でてくれた。

「…さっきの……お母さん?」

……コクン

「あんなに、怒らなくてもいいのにね……。辛いもんね、嫌だよね…。」

コクン

「……どうしたの?咲楽ちゃん、今日はあんなに嫌がって…何か、あった?」

「…………家、帰りたくない…」

「え?」

「家、嫌い。家に帰っても、いいことなんてない……。私は、迷惑な存在だから……私は、出来損ないだから…」

お母さんの怒ってる顔が浮かんで、涙が出てくる。

「だから…!!私、ここで死ぬの。どうせ、頑張っても死ぬんだから、治療なんてしたくない!!辛い治療して、治ったら治ったで、家は嫌いだから帰りたくない!!私の居場所は……ここしか、ないから…」

言い切る前に私の両目からは大粒の涙がたくさん出ていた。

自分で言葉にしたことによって、より悲しくなって、声を上げて泣いた。

わんわん泣く私のことを奏汰くんは、ギュッて抱きしめてくれた。

「大丈夫、大丈夫。僕は、ずっと咲楽ちゃんの味方だよ。大丈夫。」