え、なんですか。

 ‥‥沈黙、恐いです。


 彼奴等の気配はするのに会話が聞こえてこない。気配、そう、私のすぐ隣でするんですけど。

 おそるおそる、気配の方へ視線をやり、見上げると柳様、怒ってます?


「な、何か‥‥?」

「あ、いやー、まあ、あの」

 なんだ、なんだ、すげー、恐い。

「ほら、あの! あ! この間の資料」

 ああ、あの。隣の彼女が私に押しつけてきたやつね。
 ええ、ええ。覚えてますとも。

「何か不手際でも?」

 隣の彼女様は終始ご機嫌斜めだ。早々に切り上げねば。

「そ、そう。12p目に誤字あったから。だから‥‥」

 私も仕事山積みの時に言われたからね。そして、人の仕事、ね。

 まあ、でも、そんなこと。他人には関係ないもんね。
 個人的事情。

 だから、ほら。完璧人間の柳様は許せないんでしょーよ。