駅前のクレープ屋に強引に連れて来られた理由は、店に入ってすぐにわかった。


男性客1人に対し、女性客2人分のクレープが割引になるというサービスの最中だったのだ。


店内では3人組の男女が目立ち、1人連れて来られた男性陣は肩身が狭そうな様子だった。


俺は無難にイチゴクレープを注文して一番奥の4人席に座った。


「なるほど。お前らは割引欲しさに俺を誘ったのか」


そう言うと、前に座っていたスミレがニヤリと笑ってバナナクレープにかぶりついた。


沙希は申し訳なさそうにアイスクレープをスプーンでつついている。


「まぁいいけどな。俺も甘いものは好きだし」


そう言うと、沙希の表情が少し明るくなった。


分かりやすい態度にクスッと笑う。


「そうだと思ったんだよね。ここのクレープは絶品だって噂で聞いてたし」


スミレが自信満々にそう言った。


確かに、クレープは美味しい。