「あたしも一緒に読書していい?」


沙希にそう言われて断る理由なんてない。


俺は了承し、エイトの椅子を勝手に拝借した。


「小説はホラーばかり読んでるよね」


沙希にそう指摘されて、思わず隠してしまいそうになる。


「先が読めないから好きなんだ」


そう返事をしながら沙希の持っている文庫本へ視線を向けると、それは有名にになった青春小説だった。


つい最近映画化もされて更に人気が高まってきているようだ。


沙希らしいチョイスだと思った。


「最後のどんでん返しがある話はあたしも好きだよ。でも、そういうのはミステリーでよく読むかなぁ」


「ミステリーなら俺もよく読むよ」


そう答えた後はお互いに無言で本を読み進めることになった。


せっかくの2人きりだったけれど、こういうのも悪くない。