「さっきすごかったね。」
上履きのスリッパに履き替えていると愛華がそう言う。
なにが?と言うように私は首を傾ける。
「体育館」
「あぁ、叫び声で地鳴りが起きてたね」
主に女の子達の声でだけど。
「ボール当てた人真っ青になってたよ」
「そりゃ当たった人結構痛そうだったもんね」
スリッパがやっぱり大きいな。
明日にでも新しいの注文しよ。
なんて思っていると、愛華のため息が聞こえた。
「翠は相変わらず無関心だね。
当たった相手、安達君だったもん。そりゃあれくらい騒がれるでしょ。」
バカにした声色が聞こえてムッとする。
「安達君知ってるもん。隣のクラスのでしょ?」
「あら、知ってたの。」
バカにするなし。とふくれる私をなだめる愛華。
「あれだけ毎日回りが騒いでるんだから私でも知ってるもん。」
そう。騒がれてるのだ。安達君。いや、細かく言えば安達たち。
