「・・・もしもし。」
「ハヤタ!珍しいな。
どうした?」
「・・どうもしてない。」
「何だよそれ。」
「ハルイチ今もう家か?」
「今、部活のみんなと焼き肉食べてるんだ。
3年生も引退しちゃったし、夏休み入って新チームでがっつり練習漬けになるから決起集会やってるんだよ!
夏目もいるけど代わってやろうか?」
「・・・いやいイ・・代わってくれ。」
まずい。
夏目とは一緒に弁当食べたあの日以来ちょっと気まずいんだよな・・。
「なに?」
ガヤガヤした電話口から久しぶりに夏目の声が聞こえる。
やばい、多分怒ってる。
それはそうだろうな。
あの時は“迷惑”なんて言っちゃったからな・・。
「夏目に用事があったんだ。」
「・・・・」
「あのさ、その・・一緒に弁当食べたとき、ひどいこと言ってごめん。」
「サッカー部入ってくれるなら許してあげる。」
「はぁ?」
「高原君から聞いたかもしれないけど、
3年生も引退しちゃって1、2年生だけの新チームになったんだし、いい加減来てよ。」
「だから・・入らないって!」
「じゃあ許さない。」
「別に許されなくていいよ。
悪かったな邪魔して。」
思わず電話を切る。
「あ・・・やっちまった。」
ハルイチと練習したいなんて思ったせいで夏目との関係が余計ややこしくしちゃったな。
もう変に何かを望むのはやめよう・・。
スマホをポケットに入れると向こうのほうに転がっていたボールを取りにいく。



